ぼくもういかなきゃなんない

ぼくもういかなきゃなんない

すぐいかなきゃなんない

どこへいくのかわからないけど

さくらなみきのしたをとおって

おおどおりをしんごうでわたって

いつもながめてるやまをめじるしに

ひとりでいかなきゃなんない

すぐいかなきゃなんない

どうしてなのかしらないけど

おかあさんごめんなさい

おとうさんにやさしくしてあげて

ぼくすききらいいわずになんでもたべる

ほんもいまよりたくさんよむとおもう

よるになればほしをみる

ひるはいろんなひととはなしをする

そしてきっといちばんすきなものをみつける

みつけたらたいせつにしてしぬまでいきる

だからとおくにいてもさびしくないよ

ぼくもういかなきゃなんない

 

(出典:谷川俊太郎「さようなら」)

 

 

最近、ずっとこんな気持ちでいる。

全国どこに行くのかわからない配属先、いつか出ていかなきゃならないこの家、いつかするかもしれない結婚、いつか顔を見るかもしれない子供、そういうことをずっと考えている。

 

不思議と、こういう時にこそ自分が見えてくる。自分が何を好きなのか、自分がどういう人間なのか、理解できる。そんな気がする。